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番外編 双子の姉妹
「しかしまぁ、朝から賑やかだこと。那和の言う通り盆と正月がいっぺんに来たみていだ」
「さいきせんせい、おちゃどうぞ」
一太がお盆に湯飲み茶碗をふたつ乗せそろりそろり、慎重に運んできた。
「お、気が利くじゃねぇか」
「あついので気をつけてね」
「分かった。今、とっかんな」
斉木先生が湯飲み茶碗に手を伸ばした。
「ウーさんのもあるよ。きゅうけいだよ」
「シェ シェ」
ウーさんが斉木先生の隣に腰を下ろした。
「しかしまぁ、あやみに双子の妹がいたとはな……たまげたぞ」
「まゆこさんは最初から産む気はなかったみたいですね。でも、赤ちゃんは需要がある。だから、産科ではなく闇医者でひそかに出産し、子どもが出来ない夫婦にそれぞれ高値で売り飛ばした。でも、あやみさんだけはどういう訳かすぐに買い戻した」
「金にがめつい女だ。もっと高値で売れる方法を思いつき、汚い手を使い慌てて連れ戻したんだろう」
「九鬼の家に生まれて来なければまゆこさんは別の人生を歩んでいたかも知れません。そう思うとやりきれないです」
橘さんが複雑な胸のうちを吐露した。
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