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番外編 十七年ぶりの再会

「千夏を洗脳し軟禁していた主犯の男は地元では慈善家として知られていた。その裏で千夏をクスリ漬けにして逃げられないようにしていた。まさに人の皮を被った鬼だ」 「地竜はよくまぁそんな状況で千夏を助けらっちゃごと」 「斉木先生、地竜はかつて黒竜の幹部だった男だ。いまは、医者でありマフィアのボスだ。彼を慕う仲間は大勢いる」 「未知さんにとってはもうひとりの溺愛夫で、焼きもち妬き亭主だべ。似た者同士、仲が良くて羨ましい。ところで地竜は?なんで帰ってこねぇんだべ」 「彼は風来坊だ。心配しなくてもそのうち何食わぬ顔でふらっと帰ってくる。姐さんの隣で誰が寝るか、またくだらないことで喧嘩をはじめる」 「喧嘩するほど仲がいいってよく言うべした」 「だからなんだかんだと言って、オヤジと地竜も縣兄弟も仲がいい。だから夫婦仲もいい 」 そこへ真っ裸の太惺が逃げてきた。 「たいくん、ストップ。お着替えしましょうね」 バスタオルを手に待ち構えていた橘さんが掴まえようとしたら、キャキャとはしゃぎながら、うまい具合にスルリとかわし、一太のところに今度は得意のハイハイで脱兎のごとく逃げて行った。 「たいくんは仕方ないとしてもここちゃんと奈梛ちゃんは女の子ですからね」 「着替えさせるの大変だったんだよ」 紗智さんが奈梛ちゃんを、亜優さんが心望をそれぞれ抱っこして戻ってきた。

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