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番外編 奈梛ちゃん偉いよ

「ここちゃん暴れないの。落っこちちゃうよ。痛い痛いになるよ」 服を引っ張り服を脱ごうとして紗智さんの腕の中で暴れる心望を、奈梛ちゃんが目を丸くして眺めていた。 「普段はママとふたりきりだ。こんだけ賑やかだったらそりゃあたまげるわな。奈梛、おじちゃんってくっか?」 斉木先生が両手を差し出すと、奈梛ちゃんはにこっと笑んで自分からお手手を出した。 「手首のその鬱血したあとって、もしかして……」 「おっかさんにつねられたあとだ。さっきも言ったが背中やお尻に至るところにある。右足の裏を見てみ。タバコでも押し付けたられたんたべ。火傷の痕が残っている。痛くてしばらく歩けなかったはずだ。鳥飼もフーもなんで歩かねぇで、ハイハイか抱っこなのか最初はわかんねぇがった。足の裏の傷痕を見てやっと理解したみたいだ。大阪から歩けない妹を抱っこしてうぶって福島さ連れてきたあやみは偉い。駄々を捏ねないでちゃんとくっついてきた奈梛も偉い。先生たまげだぞ」 笑顔で話し掛けながら頭を撫でた。 「裸ん坊さんには参りました」 ほとほと困った様子で橘さんが戻ってきた。 「珍しいな優璃が手を余すなんて」 「誰かさんみたく服を着たくないみたいです。断固拒否されました。一太くんと奏音くんにあとのことは任せてきました」 ふたりに任せておけば大丈夫。どういう訳か太惺はお兄ちゃんたちの言うことはなぜかちゃんと聞くから不思議だ。

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