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番外編 いっぱいおもいでつくろう

「朝からいったい何事かと思ったよ」 「ナオさんごめんね。青空さんもありがとう」 青空さんにお姫様抱っこされてナオさんも遅れて姿を現した。 「信孝がいないとき、ナオと子供たちを守るのが俺の役目だ。玄関の前で待機している。用事が終わったら声を掛けてくれ」 頭を下げるとそそくさと居間をあとにした。 「タクシー代わりに使っているからなんだか申し訳なくて」 「松葉杖で階段を登るのは大変ですからね。青空さんだってそのくらい分かりますよ」 「ナオ、松葉杖ここに置くぞ」 弓削さんが姿を見せた。グレージュ色のサマーニットに、黒パンツといったお洒落な格好だ。 「弓削さんありがとう」 「こんなのお安いご用だ。オヤジから、撮影会に混ざってこいと言われたんだ。楽しそうだな。斉木先生まで混ざっているし」 弓削さんが目を細め子供たちを見つめた。 「ゆげさん、こっちこっち」 「早く、早く!」 一太と奏音くんに手招きされ、笑顔で子供たちの輪のなかに入っていった。

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