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番外編 これが俺の生きる道

「ひまちゃん、しばらくまた会えなくなるけど、おじちゃんのことを忘れないでくれよ。元気でいるんだよ」 弓削さんに抱っこしてもらい、あやしてもらっているうちにすやすやと眠りはじめた陽葵。あどけない寝顔を涙目で見つめながら弓削さんは陽葵に優しく声を掛けた。 「未知さん、弓削さんを見送ってあげてください」 橘さんに言われ、組事務所まで見送ることにした。 玄関のドアを開けると青空さんが険しい表情で腕を前で組み仁王立ちしていた。 「渡辺以外のデカは信用するな。気を付けろ。オヤジからの伝言だ」 「ありがとう青空。俺がいない間、姐さんとナオさんを頼む」 「弓削、時間、あるか?」 「時間?もしかして新幹線の出発時間のことか?」 「そうだ」 「あと四十分ある」 「それだけあれば十分だ。話しがある。耳を貸せ」 青空さんが表情ひとつ変えず弓削さんに小声で話し掛けた。 「どうやら鼠が一匹紛れ込んでいるみたいだ。誘き出すために俺が未知さんに変装する」 僕の見ている前でいつの間に準備したのか、ワンピースにさっと着替えた。ウィッグを付け、手櫛で髪を直した。 「シェドの信者のデカはまだいる。誉もすぐ近くにいる。オヤジの見立ては正しい」 弓削さんも黒の防弾チョッキを着ると、颯爽と上着を羽織った。 「姐さんは家に戻って下さい。青空、行くぞ」 これが俺の生きる道ーー。 どんなに険しくても、前へ進むだけ。弓削さんの心の声が聞こえてくるようだった。

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