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番外編 久弥さんの決意。たとえ修羅の道だとしても
「大切な人たちを守るためなら、修羅の道だと分かっていても、前へ進むしかないんですよ。久弥さん、お兄さんは……」
「何を言いたいか分かってる」
久弥さんは語気を強めると首を横に振った。
「なぁ、久弥。橘も柚原も弟だけはカタギとしてヤクザとは無縁の人生を生きて欲しい。そう願う弓削の気持ちが痛いくらい分かるからお前を心配しているんだ」
彼も久弥さんを説得しようとしたけど、久弥さんの決意は固く、一ミリ足りとも揺らぎようもなかった。
「俺と盃を交わすことがどういうことか、分かっているのか?」
「もう子どもじゃない。苦労を掛けた兄ちゃんを守りたいんだ。兄ちゃんと離れて、ひとり暮らしをはじめて、兄ちゃんに酷いことを言ってしまったことをどれだけ後悔したことか。僕は兄ちゃんにずっと守られていた。兄ちゃんだけじゃない、卯月さんや度会さんや紫さんや、裕貴さんや遼成さんも僕を守ってくれていた。地獄のような生活から救いだしてくれたみんなの恩に報いるためにヤクザになりたい。兄ちゃんを支えたい。兄ちゃんが大好きな未知さんや子どもたちを守りたいんだ。卯月さん、お願いします。盃を交わしてください」
久弥さんは頭を深々と下げて彼に頼み込んだ。
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