2103 / 4014
番外編 地竜さんに隠し事は出来ない
メールを送信したらすぐに電話が掛かってきた。
ー手はどうだ?ー
「だいぶ良くなりました」
ーそうか。良かった。子どもたちはみんな元気か?変わりはないか?ー
「はい。一太と奏音くんは休まずに小学校に登校しています。奏音くんは同級生から靴を隠されたり、心ないことを言われたり、嫌がらせがまだ続いているみたいだけど……。行きたくなければ無理してまで行く必要はないって遼成さんと龍成さんから言われたけど、光希さんに心配を掛けたくないと言って頑張って学校に通っています。チビッ子たちは毎日元気いっぱい。仲良く遊んでます」
ーそうか。みんな元気でなによりだ。八月にはそっちに帰れると思うんだ。二、三週間はきみの側にいれると思うー
「良かった」
嬉しくて声が弾んだ。でも電話の向こう側から聞こえてきたのはけたたましく鳴り響く銃声だった。
「地竜さん大丈夫ですか?」
状況がまったく分からないからよけい不安になる。
ー黒竜のアジトに当局が奇襲攻撃を仕掛けたんだ。俺たちは離れた所で高みの見物をしているから大丈夫だ。未知、石山や教団の動きを監視するため覃《たん》を日本に残して来たー
「覃さんを?」
なんかすごく嫌な予感がした。
ー誉のことを聞いたぞ。俺の未知にふざけた野郎だ。そっちに向かったら誉の首を締め上げてやるー
遥琉さん、余計なことは地竜さんに話してないよ。だって全部筒抜けになっているんだもの。地竜さんに隠し事は出来ないよ。
ともだちにシェアしよう!

