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番外編 地竜さんには隠し事は出来ない
ごほん、わざとらしい咳払いが聞こえてきて。どきっとして顔を上げると、怪訝そうな表情を浮かべる彼と目が合った。
「あっ……」
「随分と楽しそうだな。俺と話すより、地竜と話すほうが楽しいか?」
「そんなことない」
スマホを握り締めぶんぶんと首を横に振った。
「じゃあ聞くが、何回も未知って呼んでも返事しなかったじゃないか」
「気付かなくてごめんなさい」
地竜さんには焼きもちを妬かないはずじゃあ。そう思いながらも頭を垂れて謝った。
「未知」頬っぺを指でつんつんして、仲直りのキスを催促された。
「遥琉さん、覃さんがこっちに向かっているって」
「誉を捕まえて口を割らせるためだろう」
「あと、そうだ。右手の小指………」
「今じゃなくてもいいだろう。あとでじっくりと聞いてやる」
「遥琉さん、待って。イチャイチャしている……んんっ……」
業を煮やした彼に頤をスイと掬い上げられ、唇を強引に奪われた。
ーおぃ、遥琉!ー
スマホから地竜さんの声が聞こえてきた。
「早く帰って来ねぇと、未知の腹にもうひとり仕込むぞ。それでもいいのか?」
ーは?ふざけんな。独り占めは許さないー
「それならとっとと帰ってこい。まゆこに消される前に誉の首を締め上げるんだろう?」
地竜さんの返事を待たずに一方的に電話を切った。
「子どもたちはぽちゃぽちゃタイムだ。俺は未知タイムだ。陽葵が寝ているときしかイチャつけないからな。この貴重な時間を有効に使わないとな」
楽しそうに微苦笑しながら、彼の手がTシャツのなかに入ってきた。あまりの冷たさにぴくんと身体が微かに震えた。
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