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番外編 彼にも隠し事は出来ない

もぞもぞと足が動いたようか気がして、陽葵の顔を見つめていたら、目をパチッと開けて起きた。 「泣いたら抱っこすればいい」 「泣いたらって。ん……っん、んんっ……」 ぎゅっと抱き締められ、そのまま敷布団の上に押し倒された。待てないとばかりに彼の舌が口内に挿し入ってきた。 温かでよく動くそれは僕の口内を縦横無尽に蠢き、舐め、探り、そのまま舌に舌を絡められ、柔らかく吸われると、体がますます熱くなった。 陽葵に見られていると思うと恥ずかしくてたまらないのに、恥ずかしいから気持ちいい。 全身に彼の体の重みを感じながら、背中に腕を回して抱き締めると、口付けはより深くなった。 「はる……さん……っ」 口のなかをねっとりと舐め上げられ、擦られ、ぼーっと頭の芯が蕩けていく。快感で、幸福感で、全身が火照っていく。 やがて、クチュッと濡れた音を立てて唇が離れ、潤んだ瞳で彼を見上げながら、離れた唇の隙間から彼の名前を呼ぶと、額に、鼻先に、頬に優しく唇が触れてきた。 「陽葵は、パパとママ想いのいい子だな」 「うん」 ふたりでそっと陽葵の顔を見ると、目が合うなり、にこっと微笑んでくれた。 「未知も可愛いが、陽葵も可愛いな」 すっかりメロメロになり、目尻が下がりっぱなしになった。 きりりと引き締まった雄々しい顔も好きだけど、優しいパパの顔が僕は一番好きだ。

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