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番外編 花さんの両親

鳥飼さんが花さんの最期を看取ったと彼に聞いた花さんの両親は、鳥飼さんに会うため、H総合病院に向かうことになった。 「卯月さんはまゆこさんに会われましたか?」 ドアの前で花さんのお母さんが急に立ち止まった。 「はい。一度だけですが」 「そうですか」 「止さないか。今さら聞いてどうする。花はもう戻ってこないんだぞ」 「分かってる。分かってるけど……」 花さんのお母さんが悔しさに身を震わせながら泣き出した。 「俺たちも悔しい。カタギの、しかも何の罪もない女子高生を拐って……ヤクザの風下にも置けない最低な連中だ。まゆこも、人の面を被った鬼だ。矢内さん、まゆこのバックには宗教団体、ヤクザ、チャイニーズマファアがついている。花の仇を取りたい気持ちは分かるが、相手が悪すぎる。口封じにあなた方もまゆこに殺される可能性がある。だから今は、花とあやみの冥福を祈ることを優先したほうがいい」 「私たちの心配をしていただき、ありがとうございます」 花さんのお父さんが、お母さんの体を支えながら頭を下げた。 「実は無言電話が何回も掛かって来たんです。それに自宅を出て最寄りの駅に向かう途中、黒づくめの男たちに取り囲まれて、死にたくなければ余計なことに首を突っ込むなと脅されました。甲崎という刑事さんの知り合いの方たちに助けてもらい、無事に花を迎えに来ることが出来ました」 「そうですか」 甲崎さんの知り合いといったら、千里さんたちだ。

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