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番外編 花さんの両親

「刑事さんからあやみさんには妹がいると聞きました。母親のところにいるんですか?それとも……差し支えがなければ教えていただきたいのですが」 「その子はまゆこから虐待を受けていた。あやみが母親のところから連れ出さなかったら間違いなく殺されていた。花を看取った鳥飼が手元に引き取り娘として面倒をみている」 「良かった……」 安堵のため息をつくなり花さんのお母さんの目からは大粒の涙が零れ落ちた。 「さっき鳥飼さんは入院中だって聞きましたが、今誰が面倒をみているんですか?」 「鳥飼の夫や、菱沼組のみんなで面倒をみてる。血の繋がりなんて俺らには関係ない。子どもはみんなの宝物だ。誰一人不幸にしてはいけない。俺ら大人が守ってやらないとな」 「夫?鳥飼さんは男性ですよね?」 「同性同士の夫婦なんて今どき珍しくないだろう」 「卯月さんの仰る通りです。先入観で決め付けてしまいすみません。みんなで面倒をみているということは、その子がここにいるということですよね?」 「会わせてやってもいいが条件がある」 「はい。会えるならどんな条件でも飲みます」 「その子は鳥飼夫婦の娘だ。引き取りたいと絶対に言わないこと、人見知りしてギャン泣きするんだ。まだ人が怖い。優しくされることに慣れていない。だから直接会うのではなく、離れたところで顔を見るくらいなら、会わせてやってもいい。それと、エレベーターがメンテナンス中で九階まで階段をのぼることになる」 「分かりました。引き取りたいとは絶対に言いません。一目でも会えるならどこにでも行きます」 「それと矢内さん、奥さんはここに置いていったほうがいい」 理由は、奈梛ちゃんに会ったら間違いなく錯乱して家に連れて帰ると言い出して、収拾がつかなくなるからだった。

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