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番外編 地竜さんの右腕の覃さん
「炎竜といい芫といいフーといい、なんで地竜のまわりの男はこうも変態ばっかなのよ」
十分も経過しないうちにチカちゃんが慌てた様子で帰ってきた。
「チカちゃんどうしました?」
「ちょっと聞いてよ。事務所に行ったら地竜の右腕の男とバッタリ会ったのよ。挨拶もそこそこに人妻のお尻をむぎゅっと鷲掴みしてきて、いきなり揉まれたのよ。それも五回もよ。信じらんない」
「揉み心地は悪くない。でも、いまいちだな。真顔で感想を言うと、他の若い者たちの尻を次から次に揉みはじめたんだ。ヤツの持論は男は尻で選べ、顔は二の次。また、厄介なのが来たぞ」
チカちゃんと一緒に戻ってきた蜂谷さんが額に手を置くなり大きなため息をついた。
「ハチのお尻は揉み心地、そんなに悪くないみたいよ」
「チカそれ以上は禁句。思い出したくもない」
何があったかチカちゃんにあとでそっと教えてもらった。
地竜さんの右腕の覃《たん》さんにいきなりお尻を揉まれて、いい尻だと言われ、ネクタイを覃さんのほうにぐいと引っ張られ、無理矢理強引にキスをされたみたいだった。舌を入れやがった。信じられない。蜂谷さんはしばらくの間唖然としていた。その間も覃さんは蜂谷さんのお尻を揉み続け、撫で回していたみたい。
とんだ災難に見舞われた蜂谷さん。新婚早々不倫をする気はない。俺はタマオンリーだ。隙をみて、チカちゃんと逃げ出した。
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