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番外編 地竜さんの右腕の覃さん

「チカちゃん大変。ナオさんに被害が及ぶ前に助けに行かなきゃ」 組事務所の隣はナオさんの家だ。覃さんは間違いなくナオさんのところにも行く。 那和さんと紗智さんはお昼ごはんを届けるためについさっきナオさんのところに向かった。 「ナオさんが昔のことを思い出してパニックを起こすかも知れない」 躊躇している場合じゃない。 「橘さん、子供たちをお願いします」 ナオさんを助けに行こうとしたら、 「マー、メ」 ウーさんにとおせんぼされた。 「姐さんこそ昔のことを思い出してパニックになったら大変です。俺とチカで行きます」 「ちょっと蜂谷!アタシ行くって一言も言ってないわよ。絶対に行かないわよ」 「他のマトリがくるんだろう?組事務所にいたほうがいいんじゃないのか?オヤジのそばにいて守ってもらえ」 「それはそうなんだけど。覃やっぱり苦手」 「それはみんな一緒だ」 なおも渋るチカちゃんを宥めながら組事務所に戻っていった。 「大丈夫かな」 「遥琉も鞠家さんも信孝さんもいますから大丈夫ですよ」 橘さんが泣きぐずる陽葵をあやしながら連れてきてくれた。 「お兄ちゃん、お姉ちゃんたち朝から家のなかで運動会ですからね。顔を踏まれたり、頭を蹴られたり、おちおち安心して寝ていられません。ママのところが一番安全です」 「ありがとう橘さん」 陽葵をそっと抱っこした。

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