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番外編未知ファンクラブ
「ボスの愛人はみなに好かれている。部下として鼻が高い」
「覃、もしかして、これと同じTシャツをボスに送ったとか……」
「もちろんボスにも送った」
「ボスにも、ということは死神のメンバー全員にか?」
「あぁ。でも案ずるな。スペシャルバージョンはボスだけだ。他のメンバーには文字だけだ。アイドルのコンサートでファンが同じTシャツを着てよく踊っているだろう?最初、あれがよく分からなかった。でも千里から勧められこれを着て分かった。ボスの愛人《ラマン》をみんなで守るぞ!士気が上がり、連帯感が出る。なかなかいい。悪くない。千里からお前たち全員の分を預かってきた。もちろんスペシャルバージョンだぞ。ありがたく思え」
「未知さんはただでさえ恥ずかしがり屋なんですよ」
「もし姐さんが熱を出したら誰が責任を取るんだ」
「そりゃあ、もちろん千里と笹原だ」
悪びれる様子を一切見せず、ここにいないふたりの名前を出す覃さん。
これにはさすがの橘さんも蜂谷さんも呆気に取られ返す言葉がなかった。
「宋は元々黒竜のハッカーだった。組織の裏情報を知りすぎてダオレンに毒を盛られた。ボスが宋を助けた。だから宋は改心しホワイトハッカーとなった。今は、ある介護施設に介護助手として潜入している。半ば隠居状態の老人が介護施設で暮らしながら黒竜のハッカーをやっているという情報がある」
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