「鑑定結果待ちだから断言は出来ないけど、芫が弓削に飲ませた例のドラックとおそらく同じモノよ」 「またおっかねぇモノ作りやがって。女の敵だな。そのうちバチが当たるぞ」 「ダーリンから連絡があって、分かっているだけでも三人、中毒症状で緊急搬送されている。本人たちは全く覚えていないけど、全員性的暴行を受けていたわ。これは氷山の一角よ。被害者はもっと大勢いるわ。先日、河川敷で変死体で発見された身元不明の若い女性。身元が判明したわ。花のふたつ先輩で、動画に写っていた子よ。彼女は妊娠していたわ」 「右手の小指はちゃんと付いていたか？」 「それが見付からないのよ」 「花とあやみと一緒だな」 「胎児の父親が誰か大至急調べてもらってるわ」 「そうか」 居間で話し込む彼とチカちゃんの邪魔をしないように寝室で子どもたちを遊ばせていたけど、いつの間にか太惺も心望もいなくなっていて。慌てて探しに行ったら、彼とチカちゃんと目が合ってしまった。 「ごめんなさい。盗み聞きするつもりはなかったの」 「なんで謝るんだ？」 「そうよ」 太惺と心望が足を崩して座るチカちゃんの膝の上に手を置いて、穴が開くくらいじぃーと見つめた。 「いやぁ～～ん、もう。そんなに見つめられたらドキドキしちゃうじゃないの。アタシ人妻なのに、モテモテで困っちゃう。ダーリンに焼きもちを妬かれちゃう」 頬っぺに両手をあてて黄色い声をあげた。