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番外編 チカちゃんと覃さん
チカちゃんは太惺と心望を交互に抱き上げてくれて。お尻を軽くぽんぽんしながらあやしてくれた。
「いい、ふたりとも。覃という変態がそこら辺をウロウロしているから捕まっちゃダメよ。宋っていう変態もいるみたいだし、気を付けようね」
「悪かったな変態で」
てっきり組事務所に戻ったと思っていた覃さんがおにぎりを頬張りながら顔を出したからビックリした。
「千里から兄がいると聞いて会いたかった。まさか、橘がそうだったとは。こんな旨い飯、そうそうないぞ」
「歩きながら食べないんです。お行儀が悪いですよ覃さん。子どもたちが真似をします」
橘さんにじろりと睨まれ、
「は、はい」
慌ててその場に座った。
橘さんの前では覃さんも子どもになるから不思議だ。
「ここに着く前に食べてきたが、旨そうな飯を見たらまた腹が減った。卯月、事務所で聞いたんだが、度会という家にもなかなかいい尻をした、苦味走ったイケメンがいるそうだな」
「いい尻をしたイケメン?」
彼の頭に真っ先に浮かんできた名前は譲治さんだった。
「ジョーか。悪くない名前だ」
覃さんはおにぎりを食べながら、身を乗り出すようにして譲治さんの話しを興味深く聞いていた。
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