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番外編 久弥さんが危ない!

「久弥さん大丈夫?」 「ありがとう未知。なにやってんだって間違いなく兄ちゃんに怒られるよね?」 「黙っていれば分からないよ」 「本当にそうかな?昇龍会や直参の組にはお喋りが大好きな烏がいるって聞いたよ」 「誰かまでは分からないけど、どういう訳か全部千里さんに筒抜けになってるの」 「そうなんだ」 久弥さんが紙袋のなかをちらっと覗いた。 「料理がしたくなったらいつでもどうぞ。台所、好きに使っていいですよ。庖丁だって手入れしないといけないのでしょう」 「ありがとう橘。紫さんにも同じことを言われた」 両手を広げると寂しそうに見つめた。 「久弥さん焦らなくてもいつかきっと庖丁を握れる日が来ます。あ、あの、偉そうなこと言ってごめんなさい」 また余計なことを言っちゃったかも知れない。気を付けるようにっていつも遥琉さんに言われているのに。 どうしよう。ヒヤヒヤしていたら、 「え⁉」 温かな手が遠慮しがちに髪にそっと触れてきたからドキっとした。 「ありがとう未知。兄ちゃんがなんできみを好きなのか理解出来なかった。自分の人生なのに、なんで赤の他人であるきみに捧げる必要があるのかってずっと不思議だった。ようやくその理由が分かったような気がする」 顔を上げると久弥さんは優しい眼差しで微笑んでくれた。 「未知は俺のなのに」 「久弥は俺のなのに」 「お前らイチャイチャし過ぎだ」 「そうだ、そうだ」 彼と森崎さんが小声でなにやらぶつぶつ言っててチカちゃんと橘さんに、 「弓削の弟に焼きもちを妬いてもしょうがないじゃん」 「お二人とも心が狭すぎるんですよ」 やれやれとため息をつかれていた。

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