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番外編 久弥さんの悩み事

「森崎さんと付き合うって一言も言ってないのに」 久弥さんの顔がみるみるうちに赤くなっていった。 「でも嫌いって訳じゃないんでしょう?」 チカちゃんが真顔で聞くと、恥ずかしそうにこくりと頷いた。 「でもね森崎さんと付き合うってことはそ、その……つまり……エッチも込みでしょう。体が真っ二つに裂けるんじゃないか、そのくらい痛かったんだよ。じきに慣れるって誉は笑って言ってたけどあの激痛……そう簡単に慣れる訳ない。もし抵抗したら、変なクスリを無理矢理飲ませられるんじゃないか、覚醒剤を打たれるんじゃないか、それが怖くて、誉の言うなりになるしかなかった。実際、注射針を見せられて脅されたこともあるし、錠剤を口の中に入れられそうになったことだってある」 涙をこらえ、胸の位置で自分のシャツをぎゅっと掴む久弥さん。顎も手もわなわなと震えていた。 「恋のお悩み相談は専門外なんだけど、これだけはハッキリ言えるわよ。森崎が久弥のキモチを無視して強引なエッチをすると思う?久弥が好きならでろでろに甘やかしてメチャクチャに溺愛するけど、久弥が嫌がることは絶対にしないわ。森崎は久弥の心の傷が癒えるまでちゃんと待てが出来る男よ。ちなみにハルくんとノブくんと鞠家がそのいい例でしょう。森崎が鷲崎のところに帰らずここにいるってことは、久弥に心底惚れているから、全部まるごと受け止める覚悟があるからじゃない?だからハルくんたちから経験談を聞いて回っているんでしょう」

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