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番外編 久弥さんと森崎さん

「本当に泣くヤツがいるか」 「だってこんなに嬉しいことはないだろう。チカ、男を立ててくれてありがとう。久弥、きみの心の傷が癒えるまで何年でも待つから。焦ることはないからな、ゆっくりでいいからな」 森崎さんは感極まり涙ぐんだ。 「久弥、愛されてるわね」 チカちゃんに冷やかされ、久弥さんは頬を染めた。 「それはそうと久弥。聞きたいことあるんだけど……」 チカちゃんの声のトーンが下がった。 「嫌だったらいいわよ。無理にとは言わないから」 「チカさんがマトリで、夫の国井さんがソタイのデカ。夫婦で違法薬物の取締りをしている。ふたりとも俺たちの味方だとカシラと蜂谷さんから教えてもらいました」 「さっき言ってた覚醒剤と錠剤のことをもう少し詳しく教えてもらいたいのよ」 「分かりました。これをナオに届けてからでも大丈夫でしょうか?」 「それなら私が行きますよ」 橘さんが久弥さんの代わりにナオさんのところにお弁当を届けに向かった。もちろん柚原さんと一緒に。玄関を出ると、待ってましたとばかりに柚原さんが橘さんの手をそっと握ると、橘さんは照れながらも嬉しそうに微笑んだ。見ているほうが恥ずかしくなるくらいふたりは仲が良くてラブラブだ。 台所の椅子に座り、彼とチカちゃんと話し込む久弥さん。 森崎さんはチラチラと台所のほうを何度も見ていたけど、三人の邪魔をしないように紗智さんと那和さんと三人で太惺と心望と奈梛ちゃんの面倒をみててくれた。

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