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番外編 久弥さんと森崎さん

「もう少し静かにしようか……と言ってもなぁ、子どもが賑やかなのは元気な証拠だからな」 「そうよハルくん。いちいち目くじらを立ててもしょうがないのよ。子どもは親の思い通りなんかならないわよ。みんな違っててそれでいいの。自分の価値観を無理に押し付けちゃダメ。久弥、辛いことを思い出させちゃってゴメンね」 「いいえ大丈夫です。兄ちゃんが大好きな未知さんの役に立ちたい、ずっとそう思っていたので」 久弥さんの表情が少しだけ明るくなった。 「そこは、フツー卯月さんじゃない?」 「オヤジは最強だ。別に心配する必要はない。心配するだけ無駄。オヤジのまわりには若くて優秀な連中が自然と集まってくるから俺の出る幕はない。だから俺は全身全霊、姐さんと子どもたちを守るんだ。そう兄ちゃんが言ってたので」 「なるほどね。ハルくんを心配するより未知を心配したほうがいいもんね」 チカちゃんと久弥さんの会話を、彼は神妙な面持ちで黙って聞いていた。

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