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番外編 久弥さんと森崎さん

「未知は幽霊を信じる?」 チカちゃんに唐突に聞かれて返答に困っていたら、 「ベットの下から無数の手が上へ上へと伸びているの。まるで誉を真っ暗な闇に引きずり込むかのようにね。撮影者はのちのち誉を脅すために証拠として撮影していたのかも」 「久弥さんじゃなくて?」 「カタギの久弥を脅したところでなんの得にもならないわ」 そこへ橘さんが戻ってきた。 「仕事の話しを家に持ち込まない。橘と約束したんだわ。組事務所に戻るわね。柚原が覃を外に連れ出してくれているといいんだけど」 椅子から立ち上がろうとしたチカちゃんに、 「チカさん、お客さんがエントランスで首を長くしてお待ちかねみたいですよ。いいですね、愛されていて。羨ましいです」 橘さんが笑顔で声を掛けた。 「そういう橘こそ柚原とラブラブな癖に。お客さんって誰かしら?ダーリン?いやそんなまさかね……彼は今日は非番じゃないわ。わざわざ東京から来る訳ないわよ。それについさっきまで連絡を取り合っていたのよ」 スマホの画面をチラッと見るチカちゃん。 「えぇーー嘘!」 飛び上がるくらい驚いて、何度か転びそうになりながらも慌ててエントランスに向かった。

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