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番外編 国井、お前もか

「誰も注意しないことをいいことに、舐めたマネしやがって」 鋭い口調で言い切ると、指の関節をぽきぽき鳴らした。 「国井、怒るだけ無駄だ。ストレスが溜まるだけだぞ。それと太惺と心望に泣かれる前にそのおっかねぇツラをどうにかしろ」 「たいくんとここちゃん?」 彼に言われて国井さんがはっとして足元を見ると、太惺と心望が目をうるうるさせながらズボンにしがみつき、国井さんをじぃーっと見つめていた。 「おじちゃん、ふたりには怒ってないよ。頼むからふたりしてそんな顔をしないでくれ。あ、そうだ。ふたりに見せたいものがあるんだ。ちょっと待ってな」 ジャケットを脱ぐとそれをチちゃんに渡した。 白いTシャツは覃さんが着ていたものと同じものだった。 「ちょっとダーリン。アタシを差し置いて。ずるい」 「チカの分もちゃんとあるよ。会員証もあるからあとで渡す」 国井さんはそのまましがみこむと、 「ほら、ふたりのママだよ」 プリントされた僕の写真を二人に見せると、太惺と心望はきゃ、きゃ、と黄色い声をあげてペタペタとTシャツを触りまくった。 「いや~~可愛いな~~」 国井さんの目尻は下がりっぱなしになった。

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