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番外編 国井、お前もか

「国井、お前もか」 彼が額に手をあててがっくりと肩を落とした。 「俺はてっきり千里のファンクラブだけだと思っていたぞ」 「な訳ないだろう。俺もチカも千ちゃんと未知ラブだ。姉妹でファンクラブがあるんだ。入らない手はないだろう。ちなみに会員番号は12番だ。チカは13番だ。でな卯月、これが会員証だ」 財布から大事そうに取り出すとそれを彼とチカちゃんに渡した。 「いや~~もう。かぁ~~いい」 チカちゃんが片方の頬っぺに手をあてて歓声を上げると、紗智さんと那和さんが駆け寄った。 「本当に可愛い!」 「マー、綺麗!」 ふたりも大興奮。 見せてもらうと、満開の桜の下でにっこりと微笑む僕の写真だった。 「えぇーー!!これ、いつの写真?」 驚き過ぎてすっとんきょうな声が出てしまった。僕の声に驚いた太惺と心望が目をまんまるくして固まってしまった。 「ごめんねふたりとも。ママ、おっきい声を出したからビックリしちゃったよね」 ふたりいっぺんに抱っこは無理かなと思っていたら、 「太惺は任せろ」 彼が太惺の脇の下に手を差し入れて抱き上げてくれた。 「ありがとう遥琉さん」 「俺みたくぎっくり腰になったら大変だ。いいってことよ」 心望を抱き上げようとしたら、陽葵の泣き声が聞こえてきた。 「未知、ここちゃんはアタシに任せて。ひまちゃんって行ってあげて」 「ありがとうチカちゃん」 「ここちゃん、お姉ちゃんっておいで」 「だから誰がお姉ちゃんだって?年を考えろ年を」 「ハルくん、何か言った?聞こえなーーい」 「は?惚けるな」 チカちゃんは笑顔で心望を抱き上げてくれた。

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