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番外編 桜舞う日、俺は天使に出会ったんだ
電話に出てくれたのは優真くんだった。
ーもしもし、ゆうくんー
「優真くんこんにちは。一太のママです。パパ、いるかな?」
ー優真、誰?ー
心さんの声が聞こえてきた。
ーえっ……とぉ、わかんないー
ー電話ちょうだいー
ーやだー
ーやだしないで。一太くんのママからかも知れないからー
そんなやり取りののち、心さんがようやく電話に出てくれた。
ーそろそろ未知から電話が掛かってくる頃だ。そう言って同じところを行ったり来たり。そわそわして落ち着かない様子で待っていたんだけど、ちょっと探してくるね。切らないで待っててー
保留ボタンを押してないからふたりの声が漏れ聞こえてきた。
ーパパどこだろうねー
ーどこだパパ。ぽちゃぽちゃかな?ー
ーじゃあ、お風呂に行ってみようかー
ーうんー
ふたりのやり取りから仲睦まじい光景が目に浮かぶようだった。
お兄ちゃんも心さんも優真くんを大切に育てている。
ーあ、パパ、めっけ!ー
ーなんだ、もう見付かったか。一太のパパならパパ、絶対、電話に出ないぞー
ー遥琉じゃないよ。未知からだよ。まさか疑ってる?ー
ーな訳ないだろうー
ごそごそと物音がしたのち、
ー未知か?ー
お兄ちゃんの声がやっと聞こえてきた。
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