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番外編 桜舞う日、俺は天使に出会ったんだ
お兄ちゃんが語気を強めた。
(ごめんなさいお兄ちゃん)
心のなかで何度も謝った。
自分は不甲斐ない、駄目な人間なんだ
ーそれは違うよ未知。自分を卑下するなー
「お兄ちゃんにはなんでも見通しなんだね」
ーだって俺はきみの兄貴だ。離れていてもきみが何を考えているかくらい分かるよ。誰がなんと言おうが未知は、俺や千里や笹原の自慢の妹だ。みんな好き過ぎて困るくらい妹が可愛くて仕方がないんだ。だからファンクラブを立ち上げたー
「ありがとうお兄ちゃん。嬉しいんだけど、でも恥ずかしい」
ーそうか?ー
お兄ちゃんがくすりと笑った。
ー当時は慣れない子育てとその日生活するだけで精一杯で写真を撮っている暇なんてなかったはずだ。沈んだ顔より、泣いた顔より、笑った顔のほうが断然可愛いからな。憶えていないと思うが未知を笑わせるのかなり大変だったんだぞ。でもその甲斐があって自然な笑顔で桜を見上げるきみを撮ることが出来た。他にも秘蔵の写真が何枚かあるからファンクラブ入会の特典としてフォトブックを作ろうと思う。遥琉にいいだろうって自慢するつもりだ。ヤツの悔しがる顔が目に浮かぶようだー
「こそこそ隠れて誰と話しをしているんだ。ずいぶんと楽しそうだな」
怪訝そうな彼の声が背後から聞こえてきたからぎくりとした。
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