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番外編 桜舞う日、俺は天使に出会ったんだ
ーついでに言うときみを遥琉の嫁にくれたくなかったー
「あ?」
彼の眉間にどんどん皺が寄っていく。
ー口先だけの男。女癖が悪い。手が早い。大酒飲み。女にもだらしないが金にもだらしがない。苦労させられるのが目に見えていたからなー
お兄ちゃんそれ以上は禁句。
彼を怒らせてしまうから。
ー悪い噂だけが一人歩きして、誰も遥琉の本当の姿を知ろうともしない。本当の遥琉は家族と仲間想いで面倒みがいい。年長者からも若い衆からも頼りにされるみんなの兄貴だ。それを一番知っているから、未知を幸せに出来るのは遥琉しかいない。子煩悩だから一太も可愛がってくれる。親父は、下の子が生まれたら、遥琉がころっと態度を変えて一太に辛くあたるんじゃないか、言うことをきかないと怒鳴り散らし叩いたり蹴ったりして一太を虐待するんじゃないか、それが心配でふたりの結婚に反対していたんだ。遥琉がそんなことをする訳ないだろう。遥琉ほどの愛妻家でイクメンは探しても他にはいないからなー
「褒めてもなにもでねぇぞ。てか、怒りたくても怒れないだろうが」
彼が苦笑いを浮かべた。
ー遥琉、妹を頼むなー
「おぅ、任せておけ」
ー十六歳の未知と、十一ヶ月の一太を撮影したフォトブックが完成したら送るな。未知は今も昔も変わらず可愛いなー
「裕貴、もしかして喧嘩を売ってるのか?」
お兄ちゃんに自慢話しばかりされすっかり臍を曲げてしまった。
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