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番外編 桜舞う日、俺は天使に出会ったんだ

「ひまちゃんおっきくなったな」 陽葵の顔を覗き込むなり国井さんの顔が緩みっぱなしになった。ぷにゅぷにゅの頬っぺを指でつんつんしようとして、 「まずは手を洗うのが先だな。ひまちゃん待っててな」 洗面所に走っていった。 「たいくん、ここちゃんどこ行くの?」 太惺と心望が国井さんのあとを追い掛けていった。 「かくれぼうをしていると思ったんじゃないかな?」 「国井さんも子ども好きだから」 「なるほどね。いっぱい遊んでもらうだよ」 那和さんが手に持っていたノンアルコールの缶ビールをぶんぶんと振った。 「大丈夫ですか?」 深いため息をついたチカちゃん。心配になって声を掛けた。 「当直明けだし、移動の疲れが出たのかも。ナオさんの部屋で横になったほうが……」 「ありがとう未知。ダーリンとべビちゃんのいる暮らしも悪くないのかなって。ふとそう思ったのよ。アタシ、ママになれると思う?」 「はい。チカちゃんなら絶対なれます」 「絶対って」 チカちゃんがぷぷっと吹き出した。 「未知がそういうなら、子作り頑張っちゃおうかな~~」 それを隣で聞いていた森崎さんが急にむせって、飲んでいたお茶を噴き出しそうになった。 「森崎さん大丈夫ですか?」 久弥さんがすぐに駆け寄り背中を擦ろうと手を伸ばしたけど、手が震えるみたいで慌てて引っ込めた。 「無理すんな」 彼が久弥さんの肩を軽くぽんぽんと叩くと、代わりに森崎さんの背中を擦ってあげた。 「悪いな。チカが変なことを急に言い出すから」 「いいか森崎。赤ん坊を欲しがることは決しておかしいことじゃねぇぞ。そのうちお前も久弥との子どもが絶対に欲しくなる」 彼の言葉にどきっとする森崎さん。 久弥さんは耳まで真っ赤にして下を向いた。

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