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番外編 桜舞う日、俺は天使に出会ったんだ
「そう簡単に宗教団体を設立なんて出来ないだろう?」
「奈梛のパパの実家は代々神社の宮司をしてるのよ。年老いた両親の面倒をみる、跡を継いで夫婦で神社を守る。口ではなんとでも言えるわ」
「最初から乗っ取るつもりで近付いたのか」
「そういうこと。まゆこにとっては、五十歳過ぎの男やもめを手玉にとるなんて造作もないことなんでしょう。人間の風上にも置けないわ。同じ女として恥ずかしいわ」
「同じ……女?」
「アタシもしかして変なことを言ったかしら?」
「いや、なんでもない」
慌てて首を横に振る彼。
「そうだよな、チカみたいに旦那に一途に尽くす女が一番だよな」
「それを言うならアタシじゃなくて未知じゃないの?ハルくんみたいに手の掛かるボーヤの面倒を文句ひとつ言わずみててくれるんだよ。それにハルくんに焼きもちを妬かれても、どんだけ駄々されてもちゃんと構ってくれるじゃん。未知じゃなかったら、とうの昔に奥さんに愛想をつかれてるよ」
「未知に愛想をつかれたらそれこそ死活問題だ。絶対にそれだけは回避せねば。その為にはどうしたらいいんだ。あぁ~~もぅ」
彼が髪をくしゃくしゃと掻きながら、しまいには頭を抱えてしまった。
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