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番外編 桜舞う日、俺は天使に出会ったんだ
「たいくん人参どれかな?ここちゃんキャベツはどれかな?」
おもちゃの包丁を使えるようになったふたりとままごと遊びをはじめた国井さん。まずは形から。橘さんから割烹着と三角巾を借りてヤル気満々だ。
おじちゃん見て。見て。こんなのも出来るようになったんだよ。そう言ってるのかな?太惺はカットできるタイプのおもちゃの野菜を得意気な顔で包丁で切ると、お皿に次々に乗せていった。
「ここちゃん、ケーキはお鍋じゃなくて、お皿だよ」
一方の心望は、というと、いたってマイペース。ケーキと人参を鍋の中に入れて独創的な料理を作りはじめた。
「おじちゃん人参は苦手だけど甘めのカレーは大好きだよ」
「え?国井さんも人参が苦手なの?パパと一緒だね」
一太がくるりと振り向いた。
「ままたん、国井さんが人参抜きの甘いカレーを食べたいって」
奏音くんがおっきな声で橘さんに話し掛けると、亜優さんもタベルと恥ずかしそうに手を挙げた。
「分かりました。今晩はカレーにしましょうね」
「いちた、おてつだいする」
「奏音も」
「じゃあ、お願いします」
「かなたくん、いそいでしゅくだいをおわらなきゃ」
「そうだね」
大急ぎで漢字の書き取りの宿題に取り掛かった。
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