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番外編 桜舞う日、俺は天使に出会ったんだ
「あっ、待って」
「どうした未知?」
「大事なことをすっかり忘れていた。僕のせいで笹原さんと千里さん夫婦に亀裂が入ったらどうしよう」
「ん?」
「だって、こういう場合 もレディーファーストでしょう?千里さんを先にお姉ちゃんって呼ばないと失礼にあたるでしょう」
「真面目な顔で急に何を言い出すかと思ったら」
彼がぷぷっと吹き出した。
「笑うことないでしょう」
頬っぺをこれでもかと膨らませると、
「ごめん」
彼が両手を合わせて謝ってくれた。
面と向かって話すのがやっぱり照れくさくて。夕食後に千里さんのスマホに、
【これからは千里お姉ちゃん、蒼生お兄ちゃんって呼びます】
そう文字を打ち送信したら、
【ダーリン、嬉し過ぎて泣いてるわ。子どもたちが寝たころに電話するわね。未知、ありがとう。やぁだ、アタシまで涙が出てきちゃた】
一分も経過しないうちに千里さんから返信が届いた。
「卯月、尻に敷かれるとはなんだ?それって気持ちがいいのか?恐妻家とはなんだ?なんで妻が怖いのか?なんでだ?」
夕食後も覃さんに捕まり、なんで、なんでと質問責めされた彼。どう答えていいかいいか分からずしまいには頭を抱えてしまった。
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