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番外編 譲治さんの頼み事
譲治さんはジャージ姿で髪は短く刈り上げていた。怪我をしているのかな?おでこに絆創膏をぺたっと貼っていた。
「物騒なモノは持っていないから安心しろ。覃に寝込みを襲われたときに頭突きを食らわせて、たんこぶが出来たんだ。それを隠すための絆創膏だ」
「怪我をしている訳じゃなかったんだ。良かった」
ほっとし胸を撫で下ろすと、譲治さんが驚いたような表情を見せた。
「だから言ったろ?うちの姐さんはいつみやまゆことは違うってな」
度会さんに諭され、譲治さんは大きく頷くと重い口を開いた。
「俺には達治という弟がいる。一緒に逃げたが、途中で追っ手の待ち伏せにあい、俺が盾になり達治を逃がした。東口の高速バス乗り場で落ち合う約束をしていたが、何時間待っても達治は姿を現さなかった。携帯もその日からずっと繋がらないままだ。兄貴たちに見付かって本部に連れ戻されたか、今も逃げ回っているか、どっちかだと思う」
「あの、僕に頼み事ってなんですか?」
「後者の場合、まだ望みはある。菱沼組の姐さんは顔が広く面倒みがいいと噂で聞いた。達治を助けてくれ。頼む、この通りだ」
再び頭を下げられた。
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