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番外編 譲治さんの頼み事

「寿退社で童貞?どういうことだ?」 「それはね」 「紫さん余計なことは話さなくていいです」 「あら、そう」 「そうです。いまは、なんであやみの手が動いたか、それを調べるのが先です」 「別に調べる必要はないわ。これはきっと幽霊の仕業よ」 「紫さんまで非科学的なことを信じるんですか?」 「鳥飼の枕元にあやみさんが立っているのをフーが見てるのよ。あんな死に方をしたんだもの。成仏したくても成仏なんて出来ないわよ。ね、譲治さん」 「上の命令は絶対。誰もオヤジと先代とまゆこの暴走を止めることは出来なかった。ずっと見て見ぬふりをしてきました。後悔しています」 譲治さんが頭を垂れた。 「だからここでやり直すって決めたんでしょう。譲治さん、あやみさんのところに行くわよ」 「はい」 譲治さんは箒を持ったまま、紫さんの後ろを付いて行った。 「やくざの癖に怖がりでな。幽霊とか、暗いところが苦手らしい。だからあぁやって紫のあとをくっついて歩いている。普通は逆なんだがな」 「譲治がいつ豹変しないとも限らない。危険です」 「その時はその時だ。俺と紫くらいは譲治を信じてやらないとな」 ギャーーァーー!! 奥の部屋から譲治さんの悲鳴が聞こえきた。

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