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番外編 譲治さんの頼み事
譲治さんが何度も躓き転びそうになりながら逃げてきた。
「て、て、て……」
がくがくと震えながら客間を指差し、必死になにかを訴えた。
「まずは落ち着け。幽霊なんぞいない」
「て、天井を、く、黒い影が……」
「覃じゃないのか?主に似てヤツも神出鬼没だ」
「覃?そんな訳……」
譲治さんがおそるおそる後ろを振り返った。
「ギャァー!本当に出た!」
飛び上がるくらいびっくりして、裸足のまま外に飛び出した。
てっきり度会さんに助けを求めるものと思っていたら、
「未知さん、じゃない、姐さんだ。姐さん助けてください」
なぜか僕の背中にしがみつこうとしたけど、
「オサワリ、ダメヨ」
「姐さんに触れるな」
ウーさんと青空さんに阻止された。
「じゃあ、あいつを、あの変態をどうにかしてください」
涙目でふたりに助けを求めた。
「覃に気に入られたのが運のつきだ。諦めろ」
「そんな蜂谷さんまで……」
がっくりと肩を落とすと、へなへなと倒れた。
「覃さん、譲治さんを待ち伏せしていたんですか?あやみさんのいる部屋は神聖な場所です。騒いだり遊んだりする場所じゃないって遥琉さんに言われたはずですよ」
「黒い影が入っていった。確認しようと入ったらジョーが来た。これはまさしく運命の再会」
小さくガッツポーズする覃さん。
「ヤツに何を言っても無駄です」
蜂谷さんもこれにはため息しか出なかったみたい。
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