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番外編 譲治さんの頼み事
「大人の事情で宋の素顔はしばらくお楽しみだ。悪いヤツじゃないから安心しろ」
「安心なんて出来る訳ないだろう」
覃さんと蜂谷さんは手分けして相楽さんの置き土産を探している。
譲治さんは覃さんからなるべく離れて、庭の掃き掃除に勤しんでいた。
「ハチ、テレビや電話にノイズが走るといったら盗聴器だ。間違いない。ハチ、探すぞ」
「ハチ、ハチって馴れ馴れしく呼ぶな。てか、どさくさに紛れて尻を触るな」
「可愛げない。だから、いまだにドーテイ」
「お前に言われたくない」
「ジョーもドーテイ。これほどの褒美はない」
「覃、よだれが出てるぞ」
「日本語分かりません」
「は?」
耳の痛い話しになると惚ける覃さんに手を焼きながらも、相楽さんが仕掛けていった盗聴器を二台も見付けた。
「あらあら橘みたいな声フェチがいたなんてね」
「熟年夫婦の夜の生活を盗み聞きしても全然面白くないのにな」
一台は度会さんと紫さんが寝起きしている寝室から、もう一台はあやみさんが安置されてある客間から見付かった。
「相楽と深交のあった者を片っ端から探そう」
「ハチ、ジョーが一番だが、お前にも惚れてしまいそうだ」
舎弟たちにてきぱきと指示を飛ばす凛々しいその姿に覃さんがうっとりとしていた。
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