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番外編 譲治さんの頼み事
「蜂谷にとってはとんだ災難だったな」
「度会さんの家を出るまでずっと追い掛け回されていたんだよ。譲治さんはなるべく覃さんと目を合わせないようにしていたけど、結局最後はレッツゴーハニーとか言われて肩に担がれどこかに連れていかれちゃった」
「そうか」
「覃さんにあまりしつこくすると譲治さんに嫌われるよって忠告したんだけど、日本語分かりませんって言われちゃった」
「とぼけやがって。でも、恋は盲目とよくいうし、しばらくふたりの様子を見よう」
「うん、分かった。ねぇ遥琉さん」
「どうした?」
「覃さん、譲治さんを追い掛け回すのはいいけど、地竜さんに怒られない?」
「仕事を何一つしてなければ当然怒られるし、ペナルティーも与えられる。たまにはお灸を据えるのも彼のためになるんじゃないか。それよりも未知、陽葵が寝たなら下に下ろして、早く隣に来い。それともあれか?俺とは一緒に寝たくないってか?」
奈梛ちゃんが今日の朝までここにいたから、彼なりに気を遣って、組事務所に寝泊まりしていた。だから彼と一緒に寝るのは久し振りだ。嬉しくない訳がない。
「もうちょっとで陽葵が寝そうなんだ。もう少し待ってて」
「明日早いんだ。あと五分な」
「うん、分かった」
彼にじっと胸元を見つめられ、恥ずかしくて頬を赤らめると、彼の腕が伸びてきて、あちこち跳ねている髪をそっと撫でてくれた。
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