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番外編 譲治さんの頼み事
「一太、ふたりをお願い」
「うん、わかった」
台所に急いで戻った。
「橘さん、柚原さん、あやみさんの体内から見付かった指輪は今どこにありますか?」
「指輪は燃えないので棺に入れることは出来ません」
「確か、伊澤に至急持ち主を調べてもらうとか、話していたっけ」
伊澤さんは民間の鑑定所に知人がいる。デカとして培った経験も豊富で交流関係も広い。
「伊澤さんは今どこにいますか?」
「組事務所にいるはずだ」
「未知さん、どうしたんですかそんなに慌てて」
「信じてもらえないかも知れないけど、あやみさんの幽霊が指輪を探しているような気がしてならないんです」
「娘を信じない親はいませんよ」
「優璃の言う通りだ」
「橘さん柚原さんありがとう」
ぺこりと頭を下げた。
「伊澤を探してくる。ちょっと待ってろ。あやみにも天国に行くのはまだ早いって言っておいてくれ」
「言っておいてくれって、幽霊としゃべったことなんかないのに」
「私もです。困りましたね」
柚原さんが子どもたちに見付からないように抜き足差し足でそぉーと玄関に向かった。
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