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番外編 譲二さんの頼み事

封筒を拾い上げたとき、ふいに一種の戦慄が僕の体を突き抜けていった。恐る恐る中を確認すると入っていたはずの指輪が失くなっていた。その瞬間全身から血の気がさぁーっと引いていった。 「未知さん大丈夫ですか?」 橘さんは僕が落ち着くまでずっと背中を擦ってくれていた。 「指輪が無事にあやみさんのところに戻って良かった」 「これで心置きなく天国に旅立つことが出来ると思いますよ」 橘さんが優しく微笑んでくれた。 「橘さん、全国から親分衆が集まるってことは、お兄ちゃんやお姉ちゃんも来るってことですか?」 「千里も裕貴さんも遼成さんも来たがってはいたんですけど、そうなると警備が大がかりなものになりますからね」 「そうですよね。火葬場に迷惑を掛けるわけにはいきませんよね」 「ですからみなさんを代表して彼らがここに来たんですよ」 彼らって一体誰だろう。 もしかして龍成さんかな?それとも鷲崎さんかな? 龍成さんは奏音くんに会いたいだろうし、鷲崎さんは太惺に会いたいだろうし。うんうん唸りながら悩んでいたら、 「おはよう。みんないい子にしてたか?」 「たいく~~ん、会いたかったよ~~」 聞き覚えのある声が立て続けに聞こえてきたからびっくりした。聞き間違いじゃないかと自分の耳を疑った。まさかだと思ったけど、そのまさかだった。

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