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番外編 譲治さんの頼み事
「弾よけはいなくても自分の命くらい守れる。隠居暮らしの老いぼれ、誰も相手にしない。一太、ハルちゃん、たいくん、ここちゃんじぃじだよ」
本部ならびに龍一家、縣一家の組長代理として駆け付けてくれたのはお義父さんだった。
「じぃじ、おかえりなさい」
「一太ただいま。いい子にしていたか?」
笑顔で頭を撫でてくれた。
「うん。じぃじ、ハルちゃんとかなたくんよんでくるからまってて。まだかえらないでよ」
「おぅ」
一太がバタバタと走っていった。
「火葬は九時からです。あと十五分しかありませんよ」
「火葬するのに一時間は掛かる。多少遅くても大丈夫だ。どうにかなる。俺は息子に会いに来たわけじゃない。嫁と孫に会うために来たんだ。義理掛けは二の次だ。たいくん、ここちゃん、じぃじっておいで。もしかしてじぃじの顔、忘れちゃったかな?」
「じぃー」
写真やテレビ電話でしか会えないけど、声ですぐにじぃじだって分かったみたいで二人ともたちまち笑顔になった。顔を忘れられて泣かれると思っていたお義父さん。これには目尻が下がりでれでれになってしまった。
でれでれになった人がもう一人いた。
そう、たいくんラブの鷲崎さんだ。
お義父さんが太惺を抱っこする前にすっと抱き上げた。
「じぃー」
太惺が両手を伸ばし、にこにこの笑顔で鷲崎さんの頬をぺたぺたと触ると、
「たいくんもおじちゃんに会いたかったのか?そうか。おじちゃんもたいくんに会いたかったよ」
強面の顔が緩みっぱなしになった。
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