2183 / 4015

番外編 譲治さんの頼み事

「鷲崎の親バカぶりは遥琉や龍成の上を行くかもな」 お義父さんに抱っこしてもらいキャキャと歓声をあげる心望。 「ふたりともお願いだからよだれを服に付けちゃダメだよ。手、ベタベタじゃないよね?汚れてないよね?それを着てじぃじたちこれから火葬場に行くんだからね」 ふたりの行動は予想不可能だ。内心ヒヤヒヤして、生きた心地がしなかった。 「未知さん、子どもは泣くのと散らかすと汚すのは仕事みたいなもんだ。 着替えをもう一着持ってきてあるから心配しなくてもいいぞ」 「お義父さんすみません」 「いちいち謝らなくていい。こうして孫を抱っこさせてもらえるんだ。儂は果報者だ」 そこへ遥香と奏音くんが姿を現した。 「じぃじ、おかえりなさい」 「ただいまハルちゃん。見ないうちにまた大きくなったな。奏音もすっかりお兄ちゃんだな。ママからビデオレターを預かってきたぞ」 「え?うそ?本当に?」 「儂が嘘を付く訳ないだろう。柚原に渡してあるからあとで見せてもらえ」 「やったー!」 奏音くんは飛び上がるくらい喜んだ。 「未知さん、ここちゃんを頼む」 お義父さんから心望を渡された。 「上総さん、年なんですから無理しないほうが」 「若い者には負けない。心配無用だ」 心配する鷲崎さんをよそに遥香をヨイショっと抱き上げてくれた。

ともだちにシェアしよう!