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番外編 譲治さんの頼み事

「オヤジ、卯月会長そろそろ時間です」森崎さんが呼びに来た。 「森崎じゃねぇか。元気そうだな。鷲崎組(うち)と違って、ここには美人な姐さんはいるし、久弥もいるし、居心地もいいし、橘の作る飯は旨いし、そりゃあ帰りたくないわな。その気持ちよく分かるぞ」 鷲崎さんに思いっきり嫌味を言われた森崎さん。 「か、帰る気はあります。ありますよ」 額からは冷や汗がだらたらと流れていた。 「ハハハ、無理すんな」 鷲崎さんは豪快に笑うと、森崎さんの肩をぽんぽんと軽く叩いた。 「お前が久弥(ヨメ)を連れて帰ってくるまで気長に待ってるよ。それまで兄貴の言うことをちゃんと聞いて、迷惑を掛けないようにしろ」 「はい。ありがとうございます」 森崎は大きな声で返事をすると、腰を九の字に曲げた。

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