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番外編 譲二さんの頼み事

「奈梛ちゃん、一太兄ちゃんと遥香お姉ちゃんたちのところに行こうか?」 「まんま」 「お腹空いたよね。一緒にご飯を食べようね」 鼻を啜りながらこくりと頷く奈梛ちゃん。 「鳥飼さん、奈梛ちゃんをお借りしてもいいですか?たまにはフーさんと夫婦水入らず。ゆっくりご飯を食べてください」 「いえ、そういう訳には……」 「まだ本調子じゃないはずです。無理をするとあとから来ますよ。たまには甘えてください」 「姐さんがそこまで言うなら。素直に甘えさせていただきます」 ついさっきまでわんわん泣いていたのに。笑顔で鳥飼さんとフーさんにバイバイと手を振る奈梛ちゃん。早く、早くと手足をバタつかせた。 奈梛ちゃんを連れて家に帰ると、橘さんに何があったのかと聞かれた。 「ガキに腕を噛まれた。血は出ていない」 答えるまえに青空さんが代わりに答えてくれた。 「それは見れば分かります。青空さん、ガキじゃありませんよ。奈梛ちゃんですよ。未知さん、急いで冷しましょう。念のため消毒した方がいいかも知れませんね」 腕を捲り奈梛ちゃんに噛まれたところを見ると、くっきりと凹み青紫になっていた。

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