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番外編 じっち会
「火葬場に入りきれないくらい大勢集まったみたいです。なにも知らず火葬場に来た一般の方々にとってはえらい迷惑だったかも知れませんね」
「やっぱり遥琉さんってすごい。みんなに兄貴って慕われて、好かれて、頼りにされているから全国から親分の皆さんが集まったんでしょう?」
「それは違います」
「違うんですか?」
「姉妹でファンクラブがあるなんて前例のないことですからね。千里が妹のように可愛がる未知さんに胡麻をすり顔と名前を覚えてもらう。そうやって顔見知りになっておけば、マチガイが起こったときに千里からいの一番に声がかる。そこで名を挙げれば本部内での幹部の椅子は約束されたようなものですからね。出世のためならなりふりを構っていられません」
「だから家から出ないようにって言ったんだ」
「えぇ、そうです。誉さんや相楽さんみたく、みんながみんないい人ばかりとは限りませんからね。なかには組織を裏切り神政会や楮山組に寝返るチャンスを虎視眈々と狙っている親分もいるかも知れませんよ」
弔問客の相手をしていて夕ごはんを食べ損ねたのは彼だけじゃなかった。一日中立ちっぱなしで警備をしていた若い衆も夕ごはんを食べていないと知り、橘さんと手分けして大急ぎでおにぎりを作っていたら思いがけない人が助っ人にきてくれた。
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