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番外編 じっち会
「亜優がじっち会に混ざりたいって急に言い出したんだ。通訳がいないと駄目だろうって話しになってたまたま菱沼金融にいた鞠家さんと柚原さんと森崎さんが有無言わさず、あっという間に連れていかれた」
強力な助っ人は久弥さんだった。おにぎりぐらいなら作れるからと、快く引き受けてくれた。
「紗智さんと那和さんは僕の代理として一日中弔問客の相手をしていたから疲れているのに頼むのも申し訳なくて。助かります」
三人で手分けしておにぎりを作っていたら、小さなお手手がテーブルの下から伸びてきた。
「誰かと思ったら心望ちゃんと奈梛ちゃんだったんだね。あれ太惺くんは?」
「鷲崎さんとラブラブ中です」
「七海さんに浮気してるよって教えてあげようかな」
「写真を送り付けたらどうですか?」
「橘さんそれナイスアイデアかも」
どうやらふたりは焼きもちを妬く七海さんの顔が見たかったみたいだった。
さっきも食べたけど、おなかすいたよーと、目をうるうるさせて訴えるふたり。指を咥え、よだれで手がベタベタだ。
ミルクプリンを食べる子どもたちを眺めながら、彼がおにぎりを美味しそうに頬張っていた。
久弥さんと橘さんは組事務所と菱沼金融でおにぎりを配って歩いている。
「誉と朔久の絶縁状が本部から出た。九条はヤクザから足を洗い、依然として意識が戻らない朔久を病院から連れ出し、そのまま姿を消した」
誉さんの行方も依然として掴めないままだ。
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