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番外編 じっち会
「遥琉、大事な話しがあります」
子どもたちを寝かし付けるため寝室に行こうとした彼に橘さんが声を掛けた。
「親父と鷲崎にまた何か言われたのか?」
「言われてません。五分だけでいいです。無理強いはしません」
「分かったよ。急いで寝かし付けてくるから未知と陽葵と待っていてくれ」
心望を抱っこし、遥香の手を引いて寝室に向かった。
それから三十分後。
「もしかしたら弁護士を辞めることになるかも知れません」
戻ってきた彼に橘さんがそう切り出した。
「遥琉専属の弁護士になり、一生側にいて、一生支える。その約束を破ることになりますがいいですか?恩を仇で返すようになりますがいいですか?」
「いいも悪いも。弁護士はお前にとって天職みたいなものだろう。辞めたあとはどうするんだ?」
「専業主夫になり、未知さんの子育ての手伝いをしながら、調理師資格を生かして、料理教室でも開こうかと思います」
まゆこさんと、まゆこさんの弁護士が奈梛ちゃんの親権を取り戻すため、奈梛さんの後見人である橘さんにやってもいない罪を擦り付け、後見人を解任させようとしていると包み隠さず打ち明けた。
「柚原はなんて言ってんだ?」
「意思を尊重すると」
「そうか」
短く答えると彼は押し黙ってしまった。
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