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番外編 じっち会
バランスを崩した僕をウーさんが身を挺して守ってくれたから事なきを得た。
「親父!」
彼がドンと両手でテーブルを叩いた。
「未知は右手を捻挫してやっと治ったところなんだ。もし万一未知に怪我をさせたらたとえ親父でも許さない」
お義父さんを鬼の形相で睨み付けた。
「見ないうちにいい面構えになったな遥琉。一家の大黒柱としてますますはくが付いたんじゃないか?」
酔っぱらっているとは思えないくらい、ゲラゲラと愉しそうに笑い出した。
「ねぇ遥琉さん、お義父さん酔っ払ってるんだよね?」
「酔っ払っているフリだ」
「フリ?」
「親父は酒豪だ。酒は飲んでも飲まれないんだよ」
「え?そうなの?」
「上総さんは嫁に構ってもらいたいんですよ。誰かさんと一緒で構ってさんなんです。ですから怒られるような悪戯をわざとして、未知さんの気を引こうとしたんですよ。上総さんどうぞ」
橘さんが熱燗をお義父さんの前に置いた。
「いやぁ~~実はな、儂も未知さんのファンクラブに入ったんだよ」
お義父さんが照れながら頭を掻いた。
「は?冗談だろう」
「冗談じゃないぞ。ほら、会員証」
嬉しそうに財布から取り出すと自慢気に彼に見せた。
「親父だけは入らないと思ったよ」
「そうか?儂は初めて会ったときから未知さんが大好きだぞ」
「そうだった」
彼が深いため息をつくと、額に手をあてた。
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