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番外編 バイチー

陽葵におっぱいをあげていたら、眠っているはずの彼の大きな手がシャツの下から入ってきた。不意打ちをくらいびっくりして隣を見ると、横臥し頬杖をつく彼と目が合った。 「下から見るきみも最高に可愛い」 早朝四時前にも関わらず彼は水もしたたるいい男ぶりを遺憾なく発揮していた。 「気のせいか?顔が赤いぞ」 「気のせいです」 「ふ~ん、本当にそうか?」 ニヤリと笑うと、穴が空くくらいじーと顔を見つめられた。 そのあと脇腹や背中や腰の辺りをぺたぺたとしつこいくらい何度も触りはじめた。 「ちょっと遥琉さん、くすぐったい」 「くすぐってないだろう」 「くすぐってるよ。陽葵がおっぱいを飲めないよ。それにおっこる」 「陽葵が飲めないなら、代わりに俺が全部飲んでやるよ」 「もぅ、遥琉さんたら」 頬を染めながら彼を睨むと、 「朝からずいぶんとまぁ仲が宜しいようで」 橘さんの声が廊下から聞こえてきたらドキッした。 「また邪魔しに来たのか?」 「いいえ。遥琉、お客さんみたいですよ」 「は?こんな朝っぱらからか?まだ四時だぞ」 「蜂谷さんとヤスさんがビルのまわりを確認して歩いていたら、たまたま散歩をしていたヤスさんの知り合いの方とばったり出くわしたみたいですよ」 「本当にそうか?」 「私を疑うんですか?」 「な訳ねぇだろう。たく、しょうがねぇな。未知、挨拶だけしてくる」 急いで着替えると、ぴょんと跳ねた髪を手で直しながら、欠伸をしながら出掛けていった。

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