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番外編 彼と和真さん

ヤスさんのあとに続いて中に入ろうとしたら彼に通せんぼうをされた。 「なんで僕だけ立ち入り禁止なの?」 「だってさぁ」 決まり悪さに彼が咳払いをした。 「今まで僕が遥琉さん以外の男性に興味を示したことがある?地竜さんは例外として」 「ないな」 「だったらいいよね?」 「やっぱり駄目だ」 「なんで駄目なの?」 「いくら既婚者とはいえ、俺より若くてイケメンでしかも王子様キャラだからだ。世の男どもはみな恋敵《ライバル》だ」 「オヤジ、屁理屈ばかり並べてないで挨拶くらいさせたらどうですか?」 見るに見かねた蜂谷さんが間に入ってくれた。 「朝宮和真です。朝早くに押し掛けたのに、ご飯までご馳走になりすみません」 彼が焼きもちを妬くのが分かるくらいすごくカッコいい男性だった。でもイケメン、王子様キャラと言われてもいまいちよく分からなかった。だって僕にとって彼が一番。誰よりもカッコいいもの。 「卯月の妻です。僕のほうこそありあわせの料理ですみません。お口に合うかどうか分かりませんが、ゆっくりと召し上がって下さい」 タッパーをテーブルの上に並びた。

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