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番外編 彼と和真さん

「え?何、何?」 急に話しをふられた若林さんは目をぱちぱちしていた。 「だから、若林のほうが須釜製作所の内情に詳しいよなって、そんな話しをしていたんだ」 「えぇ~~そうなの。ごめん全然聞いてなかった。だって、このおにぎりめっちゃ旨いからさぁ。俺、ワカメのおにぎりが大好物なんだ」 若林さんは両方の手におにぎりを持って美味しいそうにむしゃむしゃと頬張っていた。頬っぺにご飯粒がついていることに全く気付いていない。 「俺より勤務年数が長いのはアラシ先輩のほうだよ。保はパートのおばちゃんたちに一番可愛がられているし、取引先の丸和電機の女子社員と付き合っていたくらいだから丸和電機のことも聞けるかも知れない。副社長、俺より二人に聞いたほうが早いですよ。卵焼きも美味しそう。いただきます」 若林さんは朝から食欲旺盛だった。 誰だっけ朝飯はいつも食べないって言ってたのは。ヤスさんは苦笑いを浮かべるしかなかた。 「そうだった。若林に頼んだのがそもそもの間違いだった。岩水を無理矢理叩き起こしてでも連れてくれば良かった。岩水というのは、若林が話していた保のことです。岩水保。須釜製作所に入社して二年目の将来有望株です」 和真さんも若林さんの天然ぶりにほとほと困り果てていた。

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