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番外編彼とデート

散々悩んだ末、青空さんが選んだのは、バニラアイスが添えられたフレンチトーストと、メープルシロップとはちみつがたっぷりとかかったワッフルと、ホットケーキだった。 「あれ、ケーキは?」 「店員に何が一押しかと聞いたら、これを勧められて」 「なるほどな」 青空さんは両手を合わせて、いただきますをするとものすごい早さで食べはじめた。 「青空、誰も取らないから、ゆっくりよく噛んで味わって食べろ。たく、しょうがないな」 頬っぺや鼻先についたアイスやシロップをハンカチで拭いてあげたりと、蜂谷さんは青空さんにつきっきりで面倒をみていた。 「しかしまぁ、朝から食欲旺盛だな」 「青空さんも一太と奏音くんと同じで成長期だから」 「止めてくれ。青空まででかくなったら、ただでさえ狭い事務所が更に狭くなるだろう」 彼が苦笑いを浮かべた。 「そういえば昔の仲間に会ったな」 青空さんが何気に発した一言に場が一瞬、静まり返った。 「でも安心しろ。帰ってくるように言われが、俺の帰る場所は新しい飼い主のところだ、帰る気はないときっぱり断わった」 「新しい飼い主って、それってもしかして俺のことか?」 「よく分かったな。さすが俺のハチ。俺はハチも姐さんも大好きだ。だから、ここにいる。どこにもいかない。甘い物も旨い物も食えなくなる」 「なぁ青空、その話しをもっと詳しく聞かせてもらえないか?」 彼が身を乗り出した。

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