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番外編 彼とデート

「本屋の前を通りかかったら行列が出来ていた。ハチにあれはなんだと聞いたら、メロンパンの移動販売車に並んでいると教えてもらった。きっと旨いからみんな並んでいる。だから俺も試しに並んでみた」 「もしかして財布を忘れて車に戻ったあの時か。青空のそばから離れたのは五分くらいだったはずだが」 「後ろに並んでいた男たちがそうだ。俺がいなくなったら誰がハチの面倒をみるんだ。俺がいないとハチが寂しがる。だから、ハチがわざと車に戻るようにした」 「ちょっと待て。なんかそれ違くないか?」 「そうか?」 青空さんは不思議そうに首を傾げた。 「ハチ、青空に一本取られたな」 仲のよい二人を見て彼の口元が緩んだ。 「姐さんの手配書を見せられた。姐さんの首を取れば、青蛇を再興出来る。協力しろ。答えはイエスのみ。ノーは死を意味する。背中にナイフを突き立てられた。俺を許してくれた姐さんの首を取るなんて出来るわけない。アイツらに殺されるなら尊に殺されたほうがましだ。ハチが意外と早く戻ってきたからアイツらはいなくなった。諦めた訳じゃないからまた来る。でも何度来ても同じだ。俺はノーとしか言わない」 青空さんが背中を気にする素振りをみせた。 「もしかしてその時に怪我をしたとか?」 「刃先が掠めたくらいだ。たいしたことはない。姐さんもハチと同じで優しいから好きだ。ありがとう心配してくれて」 青空さんが柔和な微笑みを浮かべた。

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